第13回あたらしい創作絵本大賞 審査結果

 第13回あたらしい絵本大賞

大賞作品は、出版されます。
あたらしい創作絵本大賞は、こどものためのロングセラー絵本を創作する人を発掘していくコンテストです。

たくさんのご応募ありがとうございました。
今年も昨年同様に、新型コロナウィルスの影響の影響で、審査員が同じ会場に集まって審査する方法がとれませんでした。候補作品をスキャニングし、デジタルデータで作品を確認し、リモートで審査会を行いました。
表彰式と合評会は6月4日(土)に、入選者と関係者のみでリモート開催します。

各賞の審査結果は以下の通りです。

大賞
「15びょうでだいぼうけん!」 よこみち けいこ 

●プロフィール
広島県呉市生まれ、在住。「ばらのことり」が福音館書店創立50周年記念作品として採用されデビュー。
絵本やイラストを描いたり、紙芝居の脚本を書いています。

●受賞コメント
もう何年、こちらのコンペに応募し続けてきたでしょうか。「近所の未来屋書店さんに私の絵本を置いてもらいたい !」と思い、チャレンジするものの、一次審査に落ち続け、最終選考まで残れる年もあったり、佳作に入賞できた年もあったけれど、なかなかコンペで大賞とるのは難しく……。そのうち近所の未来屋書店さんは撤退してしまいました……。
それでも、「来年こそは面白い絵本を作るのだ !」と、コツコツ続けてはや7年? 今回の作品は、画材を変え、絵のタッチを変え、作風を変えてチャレンジしました。大賞の連絡をいただいたときは、うれしくて夢のようでした。あきらめず、しぶとくやっていれば、いつかいいことありますね。
これからも、創作の楽しさと苦しさと向き合いながら、絵本を作り続けていきたいと思います。本当にありがとうございました!

■優秀賞
「コアラのおうじのひみつのベッド」 長谷川 あかり


佳作 4作品
「バナナいつたべる?」 まきの みそら 
「おふろバス」 キョンヌ 
「おふろさん」 むらかみ なな 
「ユイちゃんのたいせつなもの」 はやし あさ


■おしくも選外
「うちのかあちゃん」やまだ さゆり
「ふゆごもり」かなお みほこ
「かいじゅうたけしくんとロボットのえいたくん」辻原 謙一
「おひるねであった ふしぎなともだち」とーも

作品選考の際には、審査を公平にするため、作者プロフィールは確認せず、作品のみを読んで審査しています。

審査員総評(50音順)

香曽我部 秀幸
よこみちけいこさんの大賞受賞作は「不思議な地球儀」を幼い少年が独力で造るのは無理がある、といったオトナな意見を斥けるほどのファンタジー性が高く評価されました。人物表現(とくにおじいさんの表情)には独特のユーモアと味わいが感じられます。長谷川あかりさんは3作品を同時に応募され、その情熱だけでも評価に値しますが、中でも優秀賞作品の色遣いが大変美しく、表情の描き分けも的確でした。ただ物語に一段の発想の飛躍が望まれます。佳作のはやしさんの作品は、絵は一見稚拙なように見えて、実は巧み。画風と物語の雰囲気が合致し、保育園で過ごす幼児たちの生活が素直に描かれています。選に漏れた作品ではやまださゆりさんの『うちのかあちゃん』が目に留まりました。ほのぼのとした画風と自然な物語の展開が作用して心地良く感じましたが、くまの母ちゃんが登場するまでに、もう一つエピソードが加わるともっと面白くなったかなと思います。


長野ヒデ子
期間限定(8月31日迄)で、長野ヒデ子先生の総評をリモート配信しています(無料・15分程)。
配信を見るにはリモート会議ソフトアプリWebex Meetings(無料)が必要です。
ご希望の方は、こちらよりお申し込みください。
映像のダウンロード、録画、違法アップロードはご遠慮ください。


みやざき ひろかず
絵本の理想は絵とおはなしの相乗効果で1+1が3になってほしいと思うのですが、それってなかなかむずかしいようです。大賞の『15びょうでだいぼうけん』の絵は好みがわかれるところ。でも読むほどにおもしろく、すこし気になった絵もだんだんよい味わいに思えてきます。最後のシーンですこしテンションダウン、もっとベストなラストシーンがあるのでは。優秀賞の『コアラおうじのひみつのベッド』は、おはなしをすこし作りすぎている気がします。絵はとても素敵ですがどのページも均一な描き込みで印象が弱い感じ。ページによって変化をつけられたら、うんとよくなるのではないでしょうか?
『おふろさん』はおもしろい着想ですね! そこからもっと驚くようなおはなしの展開を期待します。『おふろバス』はラストシーンに至るまでにもうひと盛り上がりが欲しいと思います。『ユイちゃんのたいせつなもの』は、ユイちゃんの個性がもっと生きるようなシーンが欲しいです。お花を摘むのもすこし気になりました。『バナナいつたべる?』は絵もおはなしもまとまっていますが、どうしてもタイプが似ている作家さんをイメージしてしまいますね。


宮下 恵茉
今年こそ原画を拝見しての審査ができるかと思いましたが、残念ながら、昨年同様リモートでの審査となりました。今回は、書店員さんから多数の支持を得た『15びょうでだいぼうけん』が見事大賞に輝きました。

手作りの地球儀で世界中を旅するというアイディアとユーモラスな絵柄が書店員さんのハートをつかんだようです。作者のよこみちさんは過去に何度も応募された常連さん。その努力が実を結びましたね。

優秀賞の『コアラおうじのひみつのベッド』の作者長谷川あかりさんは今回三作も応募され、どの作品も完成度も高くて驚きました。その中で一番票を集めたのが受賞作です。親と一緒に寝ていたこどもがひとりで眠るようになるその成長を楽しく描けていたと思います。

わたしが個人的にいいなと思ったのは、『おふろバス』『おふろさん』『バナナいつたべる?』の三作品。どの作品もくすっと笑えるところがいいなと思いました。みなさん、ご受賞おめでとうございます!


創作絵本大賞 事務局
今年も昨年に続き、審査員が集まっての審査会をすることができませんでした。リモート審査となりましたが、長時間話し会って大賞作品が決定したのは、とても喜ばしいことでした。
応募作品の多くは、絵の完成度がすばらしく、見ているのは楽しかったのですが、絵と文章の相互関係を練り直して欲しいと思える作品が多かったです。
絵を物語の挿絵的に描かれていたり、絵本のページをめくる楽しみを考えられていないのが残念です。11見開き、15見開きの展開を考えつくす工夫をもっとして欲しいです。
物語も絵童話風であったり、絵の説明文を書いている作品も多く、音で聴く絵本の楽しみが欠けているのも残念です。作品を表現するために絵本のさらなる研究をお願いしたいです。
昆虫や動物の生態を絵本にした作品も多かったです。絵本の場合は、絵にするからこそできる表現、写真ではできない表現をお願いしたいです。また、アート作品的な作品もありましたが、当コンテストでは、アート的な作品、対象年齢が高い作品は賞には選ばれにくいので、別の公募に応募されるのがよいかと思います。
今回、大賞に選ばれた、よこみち けいこさんは、第7回から応募をされています。第11回では佳作を受賞されていますが、ときには選外になることも何度かありました。あきらめず粘り強くチャレンジしていただき、三度目の正直ならぬ、五回目の正直での大賞受賞となりました。おめでとうございます!



主催:梅花女子大学
共催:梅花女子大学児童文学科・こども学科(児童文学・絵本コース)同窓会、アミーニ(運営・事務局)、梅花女子大学こども教育学科
協賛:株式会社未来屋書店


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