第12回あたらしい創作絵本大賞 審査結果

 第12回あたらしい絵本大賞

大賞作品は、出版されます。
あたらしい創作絵本大賞は、こどものためのロングセラー絵本を創作する人を発掘していくコンテストです。

たくさんのご応募ありがとうございました。
今回、新型コロナウィルスの影響の影響で、審査員が同じ会場に集まって審査する方法がとれなかったため、候補作品をスキャニングし、デジタルデータで作品を確認し、リモートで審査会を行いました。

表彰式・合評会は、6月5日(土)リモート開催です。
第12回あたらしい創作絵本大賞 表彰式と合評会のお知らせ
グランフロント大阪アクティブスタジオ ザ・ラボで同時配信上映会を行う予定ですが、新型コロナウィルスの感染者数の状況によっては上映会が中止となる場合もございます。ご了承下さい。

各賞の審査結果は以下の通りです。

大賞
「うまれたてのくもくん」天野 みえ

●プロフィール
大阪府生まれ。家事育児に専念した10年間の後、2017年より持続的に絵を描き始め、2018年夏に初個展。2018年秋より絵本スクールで学び、2019年春に1作目完成。
2021年2月に完成した2作目をあたらしい創作絵本大賞に応募。

●受賞コメント
このたびは素晴らしい賞をありがとうございます。
子どもたちには、自分らしく喜びを感じる事をしてほしい、と伝えたいです。
私自身、絵を描くことが自分の喜びだと気づいたのがとても遅かったからです。
2018年の初個展での「楽しんで描いた絵が人に喜んでもらえる」という体験は、心がふるえるような嬉しさでした。
子どもたちには「自分の喜び」を通して「人に喜ばれる生き方をしてほしい」という思いを込めて、この作品を作りました。

■優秀賞 2作品
「もくもく めがねてん」海野 あした


佳作 5作品
「とことんオオカミ」なかばやし みく
「しっぽがあったらね」なかうら てるみ
「ハイマーはかせのなんでもマジェール」おーつぼっくす
「ぜったいねないゾウ」むらかみ なな
「おとうさんのせなか」辻原 謙一


■おしくも選外
「ぽんた こんきち ばけくらべ」小山 あこ
「なんのたまご?」竹島 亜紀子
「ブンブンのつきまつり」ゆうがた オレンジ

作品選考の際には、審査を公平にするため、作者プロフィールは確認せず、作品のみを読んで審査しています。

審査員総評(50音順)

長野ヒデ子
大賞の「うまれたてのくもくん」おめでとう。雲の絵本はいろいろあるけど化学絵本でなく雲が主人公で作品の持つ、生まれたての雲の初々しさと重なりいろいろ難点もありますがとてもいい作品に仕上がっています。何より作者の創作に対する気持ちが全体から心地よく伝わってくる。日常の何げないありふれた雲を、個性があるわけでもないのに、丁寧にしっかりと主人公に育て上げる姿勢が実にいいなと思いました。当たり前のことも角度を変えてみると新しい作品が生まれるのですよ。今後の活躍が期待されます。
「もくもくめがねてん」も「とことんオオカミ」はどちらも実に洗練されたセンスとデザイン的に無駄がなく完成度の高い作品です。だからこそ作品の持つ初々しさに乏しく残念で大賞を逃されましたおしい!
「しっぽがあったらね」も「ハイマーはかせのなんでもマジェール」も「おとうさんのせなか」も「なんのたまご?」も発想はとても面白いのですがさらに推敲するといい作品になるのに惜しいなあ。「ぜったいねないゾウ」は言葉遊びのセンスとテキストがいい。

みなさんどの作品も推敲して完成度の高いいい作品になること間違いなし。ぜひ頑張ってください!ご応募ありがとうございました、選に入らなかった皆さんもめげないでぜひ挑戦してください! 作品を生み出すことは自分自身を見つめることです。まってまーーす!


みやざき ひろかず
全体として、絵の魅力とお話のおもしろさの両方を備えた作品が少なく飛びぬけた作品が無かったのがすこし残念でした。その中で比較的バランスのとれていたのが大賞作品の「うまれたてのくもくん」でした。絵は素朴でちょっと物足りない感じもしますが、それが味わいともいえます。
優秀賞の「もくもくめがねてん」は、絵は楽しくお話もおもしろいのですが、絵本として心に残る「何か」がほしい気がします。佳作の中では「とことんオオカミ」の絵はとても魅力的です。お話にもうひといき、納得感があればいいですね。
「ハイマーはかせのなんでもマジェール」の絵もおしゃれですが変身のビジュアルが少し子ども向きではないかも?
「しっぽがあったらね」は素敵なテーマをうまく描いています。「ぜったいねないゾウ」はとっても楽しく面白いお話だと思います。もうひといき絵のパワーアップを期待します。「おとうさんのせなか」は発想がユニークでおもしろいです。


宮下 恵茉
今年も残念ながら、リモートでの審査となりました。その中で、複数の審査員からの熱い支持を受けた「うまれたてのくもくん」が大賞に選ばれました。おめでとうございます!
ストーリーに大きな破綻がなく、淡い色合いややわらなかタッチが、くもくんのピュアな雰囲気をよく表現できていたと思います。わたし個人としては、くすっと笑える要素がある「もくもくめがねてん」、「とことんオオカミ」の二作に好感を持ちました。どちらも店頭に置いてあっても遜色ない完成された絵柄で、ストーリー、アイディアもおもしろかったです。どちらも甲乙つけがたい作品で、どちらを優秀賞にするか最後まで審査員一同大変頭を悩ませました。佳作の「ぜったいねないゾウ」も、言葉遊びが楽しく魅力がありました。どの作品にも何らかの瑕疵はあるものの、例年に比べ絵の上手さだけでなく、ストーリーがきちんとかけている作品が多かったように思いました。


創作絵本大賞 事務局
今年も昨年に続き、審査員が集まっての審査会をすることができませんでした。リモート審査となりましたが、長時間話し会って大賞作品が決定したのは、とても喜ばしいことでした。
今年はコロナ禍の影響か手洗いやマスク、細菌をテーマにした作品が多く寄せられました。科学的なことを並べるだけでは、創作絵本にはなりません。子ども読者にむけて「創作」する意味を考えてもらえればと思います。
また、しかけ絵本や型抜き絵本、ジャバラ本など、造形を工夫した作品も寄せられました。「ぽんた こんきち ばけくらべ」は、絵とテキストもうまく、書店販売できそうなレベルでしたが、しかけ絵本であること、キャラクターが平凡であるのは、非常にもったいないと思いました。またチャレンジしてもらえたらと思います。応募規定には明記していませんが、当公募では、しかけ絵本は求めていません。ページをめくって楽しむシンプルな絵本創作をお願いします。
公募では、作者の創作する技量がわかる作品の方が審査しやすくなります。赤ちゃん絵本ではなく、創作絵本を楽しめる4〜6歳を読者対象とした作品をお待ちしています。類書がある作品は、選考対象からはずれます。創作する前に類書があるかどうかの確認をしてみた方がいいですね。

主催:梅花女子大学
共催:梅花女子大学児童文学科・こども学科(児童文学・絵本コース)同窓会、アミーニ(運営・事務局)、梅花女子大学こども教育学科
協賛:株式会社未来屋書店


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