第9回あたらしい創作絵本大賞 審査結果
大賞作品は、出版されます。
あたらしい創作絵本大賞は、こどものためのロングセラー絵本を創作する人を発掘していくコンテストです。
たくさんのご応募ありがとうございました。
第9回あたらしい創作絵本大賞・表彰式と合評会のご案内 自由に参加いただけます。
各賞の審査結果は以下の通りです。
■大賞
「ほしぞらのきょうりゅうたち」なかた みちよ
●プロフィール
京都府生まれ。現在、兵庫県三田市在住。科学館勤務。
2015年から絵本教室に通い、絵本づくりを学ぶ。
●受賞コメント
わたしの住む三田市は、空が広く、山々がきれいなところです。そんな景色を眺めながら考えた作品で、このような賞を受賞することができましたことを、とてもうれしく思います。
夕暮れ時、山のシルエットが、まるで恐竜が横たわっているかのように見えました。もし、その恐竜が動きだしたら、そんな想像を膨らませながら、物語を綴っているときは、とても楽しい時間でした。途中、構図や展開に悩み、創作が進まなくなったこともありましたが、絵本教室で合評をいただき、何度も書き直し、ようやく描き上げることができました。
創作過程で助言をいただいた先生方、審査員の先生方に感謝いたします。
この絵本を読んだこどもたちが、星空を見上げていろんな想像を膨らませてくれることを願います。
■優秀賞
「もしかしておばけ?」たかはし けいこ
■佳作 4作品
佳作「みんなだいすき タマゴトリオ」モリ シゲル
佳作「じゅもんを おもいだしたママ」しまだ かほ
佳作「てのりメモリー」さく:丸ノ内 レン え:はるさじ
佳作「ビッキーとヘンリー」竹島 亜紀子(たけしま あきこ)
最終選考に残ったが選ばれなかった作品
「こヤギのプレゼント」柳谷 朋里
「ねえママ、しってる?」かめもと なな
「おもちのよまつり」村上 菜々
「だいこんかあちゃん」松下 きょうこ
「はるおこし」杉山 香澄
「けいさんたいけつ」森 圭司
「でた!!バス」青山 一樹
「みつからないように みつからないように」池谷 達徳
作品選考の際には、審査を公平にするため、作者プロフィールは確認せず、作品のみを読んで審査しています。
審査員総評(50音順)
長野ヒデ子
年々中身の濃い作品が集まっており、完成度が高く今年は面白い作品が目立ちました。
大賞の「ほしぞらのきょうりゅうたち」は絵本として、そつなく大事なところをちゃんと押さえてあり、ぐいぐい引き込まれていきます。また星座の知識としての魅力と、ファンタジーとがうまく重なり、魅力ある絵本に仕上げています。特に星座の美しさをよく知っており、その思いが全頁から伝わってきて心地いい安らぎもあります。作者の体からあふれてくる心が大きく感じられる力作です。
他はどの作品も甲乙つけがたいものばかりで、新鮮!いいテーマだとうなりましたよ。でも、もうひと踏ん張りのところで終わっている。もったいない作品ばかり!
たとえば、テーマが輝いているがもう一息、目の付けどころが凄いが、完成までには息切れがしているとか、最後までもう少し一工夫あればなあ…。あれもこれもと盛り込みすぎているもの等、おしいもったいない作品ばかりでした。推敲してもう一度、挑戦してほしい。
とくに「だいこんかあちゃん」のびのびとした迫力に圧倒されましたよ!
みやざき ひろかず
絵とお話のバランスの取れた作品は今年も少なかったようです。大賞の『ほしぞらのきょうりゅうたち』は、硬くて動きのない絵が気になりますが、まじめな絵の雰囲気はこの本の内容には合っていると思います。星座と恐竜の組み合わせもこどものこころをワクワクさせそうです。優秀賞の「もしかしておばけ?」は今回の応募作品の中でとびぬけて絵が魅力的でした。太い線に柔らかさと温もりがあります。お話にもうすこし新しさがあったらなぁと残念に思います。佳作の「てのりメモリー」はとても印象に残る作品です。お話の展開に謎が多く未完成な感じがしますが、それも魅力と言えるかもしれません。あたらしい絵本大賞としてはこういうタイプの作品を期待しています。同じく佳作の「じゅもんを おもいだしたママ」はなんだかほっとするかわいい作品です。ストーリーの展開次第でうんとよくなると思います。
宮下 恵茉
今回は審査員の多くが推した『ほしぞらのきょうりゅうたち』が大賞に輝きました。おめでとうございます! 知識に裏打ちされたストーリーと、巧みな構成に好感が持てました。絵に硬さがあるとの指摘がありましたが、完成度が高い作品だったと思います。『もしかしておばけ?』も高評価でしたが、ストーリーが平凡であるとの指摘があり、惜しくも優秀賞になりました。佳作の4作にもそれぞれ魅力がありましたが、同じだけ課題もあったように思います。
わたし個人としては『けいさんたいけつ』、『こヤギのプレゼント』、『ねえママ、しってる?』に可能性を感じましたが、受賞には至りませんでした。
毎年最終審査に残る作品は、みなさんとても絵がお上手です。なのにストーリーが平凡でテキストが練られていないのが気になります。絵も文章も物語も同じだけ大切な要素です。本当にこのことばでよいのか、この展開でよいのか、自問自答してみてください。
創作絵本大賞 事務局
昨年は、大賞作品がなく「もう少し工夫していれば大賞になったのに」という作品が多くありました。作品レベルアップのため、審査員の宮下恵茉先生を講師に、応募予定作品の合評会を開催しました。初めての試みです。アドバイスをうまく消化できる方もいれば、書き直せないまま応募できない人もでてくるのではないかと心配もしました。参加した半数以上の方が、書き直して応募いただくことができ、全体のレベルアップにつながったと思います。
大賞受賞の「ほしぞらのきょうりゅうたち」も、合評会に参加していただいた作品。もともと、力のある作品でしたが、書き直すことにより、よりわかりやすく、子どもの心によりそった作品にかわりました。大賞、おめでとうございます。
主催:梅花こども・絵本・児童文学センター
共催・運営・事務局:アミーニ、梅花女子大学 児童文学科同窓会
協賛:株式会社未来屋書店