第4回あたらしい創作絵本大賞 審査結果
第4回あたらしい創作絵本大賞の結果が発表されました。
■大賞
「なぜか、ちくわは、得意げです」 大橋 正教
●プロフィール
1987年うまれ。
京都嵯峨芸術大学 観光デザイン学科卒業
DTPオペレーター、整体士をえて、へんな絵本をつくる人に。
大阪府八尾市在住
http://daiarougu.wix.com/masanori
●受賞コメント
絵本をつくるきっかけは、友人の子に見せるために描いたものでした。
それが意外にもうけたので、しめしめ、これで食っていけるのでは(うししし)と思ったところからです。
受賞を聞いたときには嬉しさもありましたが、妙に冷静な気持ちでした。
この絵本が人に何を与えるか、正直なところ、わかりません。 しかし、1人でも心を自由にすることができたら、それは望外の喜びです。
コンテストの場を提供してくださった主催者様と審査していただいた先生方に感謝します。
■優秀賞 なし
■佳作(作品受付順)
「リリちゃんのミシン」 あまもと きりん
「いつまでだっておきてるこ」渡辺 万由美
「ハロ・ハロ・ハロウィン」 さく・りょう え・やました まさこ
「ぴぴちゃん」金尾 美保子
「こびとのカービー」田中 奈央
■最終選考に残ったが佳作に選ばれなかった作品
「きんちゃんのバッチ」土井 喜久香
「おうたむくん」露木 幸恵子
作品選考の際には、審査を公平にするため、作者プロフィールは確認せず、作品のみを読んで審査しています。
審査員総評(50音順)
富安 陽子
今回は応募作品のカラーが今までとは変わったな、というのが皆の一致した感想でした。粒揃いになった分、圧倒的なパワー溢れた作品というのが見当たらない、という印象。しかしその中で大橋正教氏の「なぜか、ちくわは、得意げです」は、ナンセンスなのに笑えてしまう面白さが光っていました。佳作の五作品は、それぞれ一長一短があり、どれか一本を優秀賞に推すというのが難しかったです。個人的には渡辺真由美氏の「いつまでだっておきてるこ」が面白かったのですが、どの作品も、物語のラストにきて着地に失敗しているのがもったいない、と思いました。
長野 ヒデ子
今年はちんまりとまとまった作品が多かった。そのなかで「なぜか、ちくわは、得意げです」は群を抜いていたが、今人気の『ちくわのわーさん』とどこか似ている? それと最後がもうひとつ工夫が必要。でもこのセンスは抜群で大賞受賞。「リリちゃんのミシン」はかわいくよくできていた。けなげさがいとおしく素直で心惹かれた。「いつまでだっておきてるこ」は個性的で気になる。「ハロ・ハロ・ハロウイン」は手馴れてソツがないのが難点。「ぴぴちゃん」絵が実にいい。「こびとのカービーくん」もよくまとまっていたが個性が弱かった。選者全員の皆に目に止められながら選に漏れた「きんちゃんのバッチ」「おうたむくん」おしかったですね。
みやざき ひろかず
絵本で大切なのは、やはり絵の魅力です。応募作品の多くが絵よりストーリーで伝えようとしているようで、長い文章が気になりました。ストーリーももちろん大切ですが、絵本の原点…絵で楽しめる作品…をもっと創作してほしいと思います。大賞の「なぜか、ちくわは、得意げです」は、おはなしの最後が少し物足りなくて…もっと爆発してほしいです。でも絵の魅力、発想の楽しさ、リズム感など、すべてで抜きんでていました。優秀賞に入る作品がなかったのは残念。絵が素敵な「ぴぴちゃん」、賞に入りませんでしたが「はにいぬ」が面白く心に残りました。
宮下 恵茉
審査をさせていただいて一番感じたのは、「絵がうまいなあ」ということ。そして、「文章がよくないなあ」ということでした。誤字脱字も多かったですし、明らかに文章がおかしいものもありました。見直しや推敲をしなかったのだろうかと、非常にもったいなく感じました。あと、どこかでみたことがあるような作品が多かったのも気になりました。私は「なぜか、ちくわは、得意げです」と、「リリちゃんのミシン」を推しました。ドラマチックで、オリジナリティがある作品をお待ちしています。
主催:梅花こども・絵本・児童文学センターセンター
共催・運営・事務局:アミーニ、梅花女子大学 児童文学科同窓会